バトルフィーバーJのOPで気づいたこと

このブログでは、昭和四十年代後半生まれ、1970年代前半生まれの筆者が、主にテレビっ子だった過去を振り返りたいと思います。

初回は、「バトルフィーバーJ」のことです。今ではこれは「スーパー戦隊シリーズ」の第3作目として扱われているようですが、以前は「第1作目」扱いだったようです。

同時代の体感的に言えば、いわゆる「スーパー戦隊らしいスーパー戦隊」はその次回作の「電子戦隊デンジマン」からになるのですが。

マーヴェルとの契約でややこしいのですが、この作品は「ミスアメリカ」というマーヴェルのヒロインを活用する形で作られたようで、ミスアメリカ以外は、戦士は男性4人で、バトル〇〇と〇〇に「国名」が入るのですね。

バトルコサックと言うのがいるのですが、彼だけ「国名」ではなく、いろいろ怪しいのですが。

そもそもコサックとは何かと言うのがぼんやりしています。「白人の」「騎兵集団が」「屯田兵的な性格を生じさせて」「民族化した」何か。厳密にいえば国名ではないのはもちろん、民族かどうかも怪しい。

胸にソ連の鎌と鍬のエンブレムがあるので、明らかにロシア(当時はソ連)をイメージしているんですが全体の造形はスフィンクスを模していると言うことで訳が分からない。ユーラシア代表と言うことになっているんですが、スフィンクスは明らかにアフリカ産ですしね。

彼がソ連を何らかの形でイメージしているのだとすると、それはそれでおかしいんですけどね。コサックと言うのは白軍(反革命軍)の主力になって、ボリシェヴィキに大弾圧されて人口が激減しています。間違っても「コサック」がソ連の鎌と鍬に親和的であるはずがないんですが。

まあ、それはともかく。

バトルフィーバーJ、これのOPが無茶苦茶歌いにくかった。

基本的には当時の子供番組のOP/EDは、「子供に歌われること」を前提にしている、そう期待されて作られているんですよ。だからと言って、レベルが低いものではないんですが、たまに、「歌われることを拒否する」ような楽曲もあったりします。

赤毛のアン」「ダイの大冒険」と並んで、「バトルフィーバーJ」は三大難曲のひとつですね。

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YouTube に動画がありますので、聴いてみてください。

「そんなに言うほど難しいか?」

と思うかもしれませんが、児童合唱団を含めて「プロ」だからさらりと歌っているだけです。

戦士の「国名なまえ」を読んでいって、その戦士が各国語で「はい」と返答する部分があるんですが、ここが難しいんです。

音節の区切りがかなり恣意的になっています。

バトルフランス(ウィ)

バトルコサック(ダー)

バトルケニア(ディヨ)

ミスアメリカ(イエス

バトルジャパン(オオー)

この部分ですが、返答部分はとりあえず置いておいて、それ以外の部分を音節で区切ってみます。

バ/ト/ル/フランス/(ウィ)4音節
バ/トル/コ/サック/(ダー)4音節
バ/ト/ル/ケ/ニ/ア/(ディヨ)5音節
ミ/ス/ア/メ/リ/カ/(イエス)6音節
バ/ト/ル/ジャ/パン/(オオー)5音節

難しいのはフランスとコサックですね。フランスは「フランス」一語を一音節で発音しています。英語の France と同じ発音になっているわけです。敢えてローマ字書きすれば、Furansu ではなく、Frans と発音されています。母音と拍の欠落が生じているわけです。

特に難しいのがコサックです。これはバトルのルとコサックのクで二度、母音と拍の欠落が生じています。特に、バトルは他の部分では三音節で発音されているにもかかわらず、ここでのみバ/トルと二音節で発音されています。

日本語のウ段では無性母音化が生じやすいのは知られていますが、ここでは更に拍自体が欠落し、Sō desu が Sō des になるのと同じ現象が生じているわけです。

そしてそれを前提として作詞作曲されています。

バトルコサックは日本語の通例であれば6音節で発音されるべきところ、2音節も削られているのです。

子供の時、僕はこれを歌おうとしてどうしても歌えず、なんでだろうなんでだろうと考えたことがありました。

そしてどうやら、音には子音と母音があって、日本語のカナではそれが見えなくなっているということに、そこまで言語化して分かったわけではありませんが、要約すればだいたいそういうことに気づきました。

逆にそこまで踏まえなければ、すらすらと歌えるような歌ではないのです。

問題部分はコーラスの児童合唱団が歌っているのですが、彼らが何のストレスもないように自然に歌っているように聞こえるのが驚きです。

児童合唱団の底力を見せつけられる思いがします。